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フィンランドのベーシックインカムは社会をどう変えるのか?BI的社会保障を受給する外国人の立場から思うこと


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こんにちは、2016年10月に妻の故郷フィンランドに移住したCaptainJack(@CaptainJacksan)です!

2017年1月より、フィンランドが世界で初めて国家レベルでベーシックインカムの社会実験を開始したとして話題になっています。

BIにはいろんな意見があります。フィンランド移住者として実際に住んでみて思ったことを書いてみたいと思います!

 

 

はじめに、ベーシックインカムについて簡単に説明しますね。

 

ベーシックインカムとは

全ての国民に一定の金額を毎月給付する社会保障システムのこと。

Wikipediaでは、「ベーシックインカム(basic income)とは最低限所得保障の一種で、政府がすべての国民に対して最低限の生活を送るのに必要とされている額の現金を無条件で定期的に支給するという構想」とされています。

フィンランド語のWikiはこちら。
Perustulo – Wikipedia

 

BIのメリット

以下のようなメリットが挙げられます。

  1. 貧困対策
  2. 少子化対策
  3. 地方の活性化
  4. 行政コストの削減
  5. 労働意欲の向上
  6. 失敗を恐れずに経済活動でき、学生が勉学に励むことができる

 

BIの問題点 

以下のようなデメリットが挙げられます。

  1. 財源の不安
  2. 所得の海外移転
  3. 勤労意欲の低下
  4. 外国人や特別永住者などの取扱い 

 

メリットデメリットを簡単にまとめると、「働かなくても生きていけるから、失敗しても死なないし何でもチャレンンジしやすくなる」一方、「財源は十分なのか、働かない人ばかりにならないか」という点が心配のタネになっているようです。

 

フィンランドでの社会実験

ニューズウィークの記事によると、現在フィンランドで行われているBIの国家的社会実験の概要は以下の3つ。

  1. 期間は2017年1月1日〜2018年12月までの2年間
  2. 無作為に選出された2000人の失業者が対象
  3. 支給金額は月に560ユーロ(約6万8000円)

 

実際にフィンランドで生活している僕の感覚から言うと、560ユーロでは1人暮らしだと厳しいでしょうが、2人以上ならそこそこの都市でも完全に働かず生きていくことが可能な額

家賃や電気ガス水道台など、家に関する費用を折半できると負担が大きく減りますから、そういう意味では大家族ほど有利です。

 

僕はベーシックインカムに大賛成

ここまで長々とBIにまつわる情報をおさらいしてきましたが、ここからは僕の意見と実体験。 (フィンランドにおいてと枕詞がつきますが、)僕はベーシックインカムに大賛成です。

堀江貴文さんがBIについて話している下の記事を読んでみてください。これね。フィンランドに住んでたら、ほんまそれって感じなんですよ!

 

この試みの狙いの一つは、失業者の就労を促すことにある。既存の失業手当などの給付は、受給者が少しでも働いて収入を得ると、大幅に減額されてしまう。そのため受給者の就業意欲を削いでしまうこともあった

しかし、今回の制度では、受給者が働き始めてももらい続けることができるため、失業者の就労を促す効果を持つという。

フィンランド社会保険庁事務局のMarjukka Turunen氏は、CNNの記事でベーシックインカムの利点を次のように語っている。

「臨時収入を得てもベーシックインカムが減らされることはないので、働いたり、自営業を営んだりすることはどんな場合でもやる価値がある」

フィンランドでベーシックインカムの試み 生活保護とは違い「プライドの崩壊を防ぐことができる」とホリエモンは評価

 

既存の非雇用者手当が凄すぎる

なぜなら。良いことかもしれませんが、既存の非雇用者手当が凄すぎるんです。

現在妻もこの手当を受給してるんですが、その額は約523ユーロ=64,000円(税引き前653ユーロ=80,000円)。ただし、家賃の半分弱が家賃補助として別に支払われる上、データ通信し放題+多少のSMSと通話代を含むSIMカードが月額14ユーロ(1700円)、そして野菜も果物もパンも肉も食料品全般が日本よりだいぶ安く、フリーマーケット文化が発達しているおかげで衣服も格安いう物価のおかげで、その金額の価値は想像以上に大きいです。

また、Unemployment Benefitと呼ばれる同非雇用者手当として、外国人である僕も毎月約770ユーロを受け取っています。妻より200ユーロ以上高い主な理由は、フィンランド語の語学学校の通学手当が上乗せされているから。(つ・・通学手当ってなんやねん!?っていうツッコミよくわかります。後日別記事にて)

 

銀行の管理画面のスクリーンショットを載せておきます。774.24ユーロが、社会保障を担当する行政機関の一つKelaから振り込まれた金額。 日本円にして95,000円を超えます。

 

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非雇用者手当の欠点

ただこの手当、名前がUnemployed benefitなので当然ですが、就業すると支給が止まります。夫婦の場合、どちらか一方が未就業のままでも片方が就業すると家賃補助が止まるため、金銭的な負担は上がります。ここが大きな問題だと思っています。

働いても働かなくても収入がほぼ変わらないのなら、人はあえて働こうとするでしょうか?

もちろん数万円程度の家賃補助停止が問題にならないくらいの給料をもらえる仕事を見つけられればいいのですが、いま僕たちが住んでいるポリにはそもそも仕事の数自体があまり多くありません

 

仕事がない!

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僕たちの住むポリの場所。ヘルシンキから北西に車で3時間半、人口8万人の港町

給料の高いオフィスワーカーの仕事は高学歴のマスター所持者(いい大学の院卒みたいなもの)に取られており、給料の高い専門職はammattikoulu(アンマッティコウル)と呼ばれる職業専門学校を卒業していないと就くことができません。残る仕事は給料はそんなに良くないことが多いようです。

また、妻いわく、日本と違ってバイトも週2、3回でOKのようなものは数少なく、週5のフル出勤となることが多いそう。日本のように学生が気軽にバイトというようにはいきません。。

そんな中でようやく受かった仕事をすると手当が大幅に減額される、もしくは支給が停止するのですから、もう受からないなら受からないでいいやと思っても無理はありません。というか、むしろ、自然の成り行きでしょう。

 

ポリだけの問題なのか?

もちろん、ヘルシンキ、タンペレ、トゥルク、ユバスキュラなどの大都市では事情は異なるはず。ただ、フィンランドは人口にして約550万人、首都のヘルシンキですら東京都江戸川区とそう変わりない70万人程度の小さな国。

ポリは人口8万人ですが、ヘルシンキとの人口比率で見ると11%。東京の人口1300万人の11%は141万人ですが、これは京都市、福岡市、川崎市の人口に匹敵する大都市になります。

もちろん単純な比較はできませんが、京都市や福岡市的ポジションの街の仕事環境がそんな感じ・・・と思うと、ちょっと怖いですよね。成功した社会福祉国フィンランドのイメージからは程遠いです。笑

 

やっぱベーシックインカム待ったなし!

僕がBIに大賛成なのは、ベーシックインカムこそ身近で目にするこの状況を変える力を持っていると感じるから。

繰り返しになりますが、「受給者が少しでも働いて収入を得ると、大幅に減額されてしまう。そのため受給者の就業意欲を削いでしまう」という現状は良くないと感じます。

むしろこんなに手厚い手当があること自体がおかしい、現にほとんどの国にはないという声も聞こえますが、もし手当がなければきっと失業者が溢れるだけ。そして貧困は治安悪化に直結するため、いまの平和なフィンランドのままではいられないでしょう。よって、非雇用者手当の存在自体に異を唱えるのはナンセンス。

額や支給期間など細かいところの調整はできるかもしれませんが、ただでさえ状況によって変わりすぎる複雑な制度がさらに複雑になったところで、BIに勝るメリットは思い当たりません。

フィンランドが平和で安定しており世界で一二を争う教育水準を誇るのも、BIではないにしろこの非雇用者手当という厚い保険があり、仕事に失敗しても死ぬことがないからだと僕は考えています。日本にも生活保護がありますが、その受給しやすさはおそらく段違いなのでは。

僕が見た限り、この手当の唯一の問題は、あまりにありがたい制度だけに、受給停止を恐れて再就職しようとしなくなること。この問題を解決できるものこそ、まさにベーシックインカム。僕はそう思います。

 

 

働いても働かなくてもあんまりもらえるお金変わらないの、なんかおかしい気がするしね。

 

 

確かにね。その点ベーシックインカムはいいんじゃないかなぁ。人生の選択肢が増えると思うよ。

 

最悪何もしなくても死なないし、安心感からチャレンジする人が増えて面白い世界になりそう!

 

まとめ、世界のBIの動向とか

スイスでBIの可否を問う住民投票が否決されたニュースは記憶に新しいですが、記事のように「月額2500スイスフラン(約27万5千円)」を支給されては勤労意欲が削がれるのは当然で、社会的にはマイナスでしょう。フィンランドが現在行っている社会実験のように、6〜7万円ほどの最低限生きて行くことは可能レベルの支給を行うのがもっとも望ましい。

AIの技術改革がめざましい今日この頃ですが、AIの発達とともにこれまで人間が受け持っていた仕事が消え、失業率が大幅に上昇するのは避けられない未来です。AIが生み出した利益への課税が始まり、またそれを財源としたベーシックインカムが導入されるように世界が変化していくのは自然な流れでしょう。

カナダのオンタリオ、カリフォルニアのオークランド、スコットランドのグラスゴー、オランダのユトレヒトなどでも、BIの実験的な導入が計画または議論されているそうです。世界を代表するフィンランドの社会実験はまだまだ始まったところ。2年間の実験がどうなるかは未知数ですが、その過程と結果には大いに注目しています。

民度の高い」「成功した」「小国」というベーシックインカム初期導入国として最高の条件を満たすフィンランド。本格的に導入される日が待ちきれません。いずれ正式に試行されたその時に、受給対象の当事者としてフィンランドの住民でありたい。そう願います。

 

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